顔には毎朝塗るのに、手の甲だけ「昨日の私」のままでした

七月十七日。七十二候では「鷹乃学習(たかすなわちわざをならう)」を迎えるころです。
春に生まれた若い鷹が、巣立ちに向けて飛び方を覚え始める季節なのだそうです。
空の飛び方なんて、生まれた瞬間から知っていそうなのに。鷹でさえ、何度も羽を動かしながら、自分の飛び方を身につけていきます。
それなら私たちが、自分を大切にする方法をまだ上手にできなくても、そんなに恥ずかしがらなくていいのかもしれません。
私は毎朝、顔には化粧水を重ね、美容液をなじませ、日焼け止めを塗ります。
鏡の前で頬の毛穴を見つめ、「今日は赤みが少ないかも」と小さく安心し、ファンデーションを薄くのばします。美容業界で働いていた経験もあるので、紫外線が肌に与える影響を知らないわけではありません。
それなのに、ずっと見落としていた場所がありました。
手の甲です。
正確に言えば、見落としていたのではありません。毎日、何度も見ていたのに、「見なかったこと」にしていました。
スマートフォンを持つとき。
カフェでコーヒーカップを包むとき。
婚活で初めて会った人の前に、メニューを差し出すとき。
パソコンのキーボードを打つとき。
顔よりも先に相手の視界へ入ることさえあるのに、私は手の甲をほとんど守っていませんでした。
朝、顔に残った日焼け止めを手へちょんちょんとなじませて、それで紫外線対策をした気になっていました。手を洗えば落ちることも、アルコール消毒や摩擦で失われることも、本当はわかっています。
でも、わかっていることと、できていることは別でした。
婚活で気になったのは、彼の視線ではなく自分の手でした
少し前、婚活で知り合った男性とカフェへ行きました。
相手は話をきちんと聞いてくれる穏やかな人でした。仕事のこと、休日の過ごし方、最近食べておいしかったもの。会話が途切れて気まずくならないように、私はいつもより少しだけ明るい声で話していました。
その途中、テーブルの上に置いた自分の手が目に入りました。
小さな点のような色むら。乾燥して細かく見えるキメ。指の関節付近のくすんだ感じ。
誰かに指摘されたわけではありません。相手は私の手なんて気にしていなかったと思います。それでも一度気づいてしまうと、私は自分の手をテーブルの下へ隠したくなりました。
ネイルはきれいにしてきたのに。
髪も巻いてきたのに。
新しいリップまで買ったのに。
どうして私は、毎日いちばん働いてくれている手を、こんなにも雑に扱ってきたのだろうと思いました。
手は、私の年齢をばらす敵ではありません。
十年間、飲食と美容の仕事で人に触れ、食器を運び、水仕事をし、何度も洗い、何度も消毒してきた手です。落ち込んだ夜には自分の頬を支え、友人が泣いているときには背中をさすってきました。
ブログを書く今も、この手が言葉を打っています。
そう考えれば、手の甲に変化が出るのは当然です。何もしてこなかった罰ではなく、毎日を生きてきた跡なのだと思います。
それでも私は、その跡を理由に自信をなくしたくありませんでした。
ある手肌の調査では、20代・30代でも約4割に手の甲のシミがあり、20代から40代で最も気になる悩みは「乾燥・カサつき」だったと報告されています。また、6月から7月に手へ日焼け止めを使っていた女性は60%でした。
つまり、手の変化に悩んでいるのは私だけではありません。そして、夏の盛りでさえ、手に日焼け止めを塗っていない人は珍しくないのです。
顔のシミには敏感なのに、手の甲の小さな変化には「まあ、いっか」と言ってしまう。
これは美容への関心が低いからではなく、手が生活に近すぎるからだと思います。
洗う。拭く。触る。運ぶ。また洗う。
手はケアする場所である前に、働かせる場所なのです。
ルミナピールは「日焼け止め」ではなく、浴びてしまった時間と向き合うケアでした
手の甲について調べているときに知ったのが、ハンド用ピーリングジェルの「ルミナピール」でした。
名前だけを見ると、塗っておけば紫外線を防いでくれそうな印象があります。しかし、ここは間違えたくないところです。
ルミナピールそのものは、日焼け止めではありません。
紫外線を防ぐ役割を担うものではなく、古い角質を落として、手肌をなめらかに整えるためのケアアイテムです。現在の商品は医薬部外品として案内されており、メラニンを含む古い角質を取り除く角質ケアに加え、メラニンの生成を抑えてシミ・そばかすを防ぐことや、保湿まで考えられた処方になっています。
ジェルを手の甲になじませてケアする。その工程だけを見れば、とても地味です。
顔用の高価な美容液のような特別感も、きらきらしたメイク用品のような高揚感も、最初は感じにくいかもしれません。
それでも私は、この「手の甲だけのためにつくられた」という狭さに惹かれました。
顔にも体にも使える万能なものではなく、手の甲という、誰も主役にしなかった場所をわざわざ主役にしているからです。
私は年収300万円で暮らしています。
美容に使えるお金は無限ではありません。欲しいと思ったものを全部買うことはできないので、本当に必要なのか、似たもので代用できないのか、定期購入なら条件はどうなっているのかまで確認します。
きれいになりたい気持ちはあります。でも、きれいになるために生活が苦しくなるのは違います。
だからルミナピールについても、「これ一本ですべて解決する」とは考えませんでした。角質ケアだけに期待を背負わせず、日中の紫外線対策や保湿と役割を分けることにしました。
朝は、手の甲にも日焼け止めを塗ります。
指の間や関節付近まで、塗り残しがないようになじませます。手洗いをしたあとや、長く外にいる日には塗り直します。日本皮膚科学会も、手の甲は日焼け止めを忘れやすい部位の一つとして挙げ、およそ三時間に一度の塗り直しが確実だと説明しています。
車を運転する日や、長時間外を歩く日には、UVカット手袋なども使えます。
そして夜は、汚れや日焼け止めを落とし、ルミナピールのような角質ケアを使用方法に従って取り入れます。ケアしたあとは、手肌の状態を見ながら保湿します。
大切なのは、強くこすれば早くきれいになるわけではないということです。
早く変わりたくて、力を入れたくなる気持ちはよくわかります。
恋愛も仕事も美容も、うまくいかない時期が続くと、私たちは自分に対して急に乱暴になります。「もっと頑張らなきゃ」「こんなこともできないの」「早く結果を出して」と、自分を追い立てます。
でも、肌は焦りに付き合ってくれません。
赤み、傷、湿疹などがあるときは使用を控え、違和感が出たら中止する。敏感肌なら特に、最初から攻めすぎない。必要に応じて皮膚科医へ相談する。
地味ですが、こうした判断のほうが、「美意識」という言葉よりずっと自分に優しいと思います。
ルミナピールは、過去に浴びた紫外線を帳消しにする魔法ではありません。
一度できたすべてのシミが消えると約束するものでもありません。
けれど、これまで放置してきた手へ意識を向けるきっかけにはなります。
私にとって、そのきっかけは思った以上に大きなものでした。
本当に隠したかったのは、手の甲ではありませんでした
ここまで読んで、「最後は手がきれいになって、自信を持って婚活できました、という話でしょう」と思ったかもしれません。
でも、違います。
あの日のカフェで私が手を隠した本当の理由は、小さなシミでも乾燥でもありませんでした。
男性から「お仕事は順調ですか」と聞かれたとき、私は反射的に「はい、楽しくやっています」と答えました。
本当は、その月のブログ収益がほとんど伸びていませんでした。
周りの同世代は結婚し、子どもを育て、仕事でも役職がついている。私は作家になりたいと言いながら、何者にもなれていないような気がしていました。
年収300万円。
婚活中。
将来の保証もない。
そんな自分を見透かされそうで、怖かったのです。
手の甲をテーブルの下へ引っ込めたのは、肌を隠したかったからではありません。
うまくいっていない自分を、丸ごと隠したかったからでした。
家へ帰ったあと、私はネイルを落としました。
きれいに塗った色の下から出てきたのは、何度も水仕事をしてきた爪と、少し乾いた指先でした。華やかではないけれど、私を今日まで食べさせ、働かせ、文章を書かせてきた手です。
その瞬間、急に思いました。
この手は、恥ずかしい手ではありません。
まだ夢を諦めていない手です。
誰かに選ばれるためだけに整える手でもありません。
自分の暮らしを、自分でつくっている手です。
ルミナピールで手の甲をケアしようと思った最初の理由は、「少しでも若く見せたい」でした。
けれど、手を丁寧に扱ううちに、目的が変わりました。
若く見せるためではなく、若くない自分を嫌わないため。
婚活相手の視線を気にしないためではなく、私自身が私を雑に見ないため。
手の甲の紫外線対策とは、単に日焼け止めを塗ることではなかったのです。
朝、これから浴びる紫外線を日焼け止めで防ぐこと。
夜、乾燥や古い角質が気になる手をルミナピールなどでいたわること。
そして、変化が出た自分を「もうダメ」と切り捨てないこと。
この三つがそろって、ようやく私の手のケアになりました。
私たちは、美容を「欠点を消す作業」にしすぎているのかもしれません。
毛穴を消す。
シミを隠す。
シワをなくす。
年齢を感じさせない。
でも、どれだけ隠しても、私たちは毎日少しずつ変わっていきます。だったら美容は、変化を敵にするものではなく、変わっていく自分と仲直りする時間でもいいはずです。
七月の強い光の下では、手の甲の小さな点も、乾燥した線もよく見えます。
それを見つけたとき、「老けた」と自分を責めるのではなく、「ここも守ってほしかったんだね」と考えてみます。
日焼け止めを塗り直せなかった日があってもいいです。
疲れてケアを休む夜があってもいいです。
大切なのは、完璧な手になることではありません。何度忘れても、また自分の手を取ってあげることです。
鷹が飛び方を覚えるように、私たちも自分を大切にする方法を、今から覚えていけばいいのです。
明日の朝、顔の日焼け止めを塗り終えたら、ほんの少しだけ手の甲にも意識を向けてみます。
その手は、あなたが思っているよりずっと長い間、あなたの味方です。
だから今度は、あなたがその手の味方になってあげてください。





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参考サイト
※使用感や結果には個人差があります。ルミナピールは日焼け止めではないため、日中は別途サンスクリーン剤などで紫外線対策をしてください。肌に異常がある場合や使用中に違和感が出た場合は使用を中止し、必要に応じて皮膚科医へ相談してください。
