体重は普通なのになぜしんどい?筋肉量が少ない女性の疲れやすさと食事制限の意外な関係

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    体質は、生まれつきの性格みたいに変えられないと思っていました

    朝の公園で軽やかな体づくり

    「私、太りやすい体質だから」

    これまで何度、この言葉に逃げてきたでしょうか。

    食べていないつもりなのに、お腹まわりはやわらかいままです。休日に一万歩も歩いたのに、翌朝は元気になるどころか、ベッドから起き上がるだけでひと仕事です。

    冷房の効いたカフェでは、真夏でも足先が冷えています。少し重いバッグを持っただけで肩がこり、階段を上れば息が切れます。

    でも、健康診断の数字だけを見れば、今すぐ大騒ぎするほどではありません。

    だから私は長いあいだ、この不調を「年齢のせい」「仕事の疲れ」「女性はこんなもの」と、小さく折り畳んで心の引き出しにしまっていました。

    本当は、少し怖かったのです。

    まだ人生の半分も生きていないのに、もう身体の下り坂が始まったような気がしていました。

    今日は2026年7月16日です。

    「七色」と読めることから、7月16日は「虹の日」と呼ばれています。夏の季語でもある虹は、夕立のあとに現れることが多いそうです。

    雨が降った事実は消えないのに、光が差す角度が変わると、同じ空に虹が出ます。

    体質改善も、それに少し似ているのかもしれません。

    いまの自分を全部否定して、別人になることではありません。自分の身体を見る角度を、ほんの少し変えることなのです。

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    体重計の数字より、ペットボトルのふたが怖くなった夜

    体質改善と聞くと、私はずっと「痩せること」だと思っていました。

    体重を落とす。ウエストを細くする。写真に写った二重あごをどうにかする。昔のデニムをもう一度はけるようにする。

    身体に向ける願いが、いつも見た目から始まっていたのです。

    食事を減らし、夜は炭水化物を我慢し、体重計の数字が数百グラム減れば喜びました。翌日に増えていれば、昨日の私を丸ごと責めました。

    「プリンを食べたからだ」

    「歩くのをさぼったからだ」

    「また自分に甘くしたからだ」

    体重計は、身体を測る道具のはずでした。ところが、いつの間にか自分の人間性を採点する機械になっていました。

    そんな私が筋肉量を意識するようになったのは、鏡を見たときでも、体重が増えたときでもありません。

    ある夜、冷蔵庫から出したペットボトルのふたを開けられなかったときでした。

    手が滑っただけかもしれません。それでも、何度ひねっても開かないふたを前にして、妙に心細くなりました。

    ひとり暮らしでは、こういう小さなことが突然、未来の不安につながります。

    高い棚の荷物を下ろすこと。重いゴミ袋を運ぶこと。駅の階段でスーツケースを持ち上げること。スーパーからお米を持ち帰ること。

    婚活では「将来を一緒に歩ける人」を探しているのに、私は自分の足で自分の未来を歩く準備さえ、ちゃんとしていなかったのかもしれません。

    筋肉という言葉に、私はゴツゴツした腕や割れた腹筋を想像していました。

    けれど本当に欲しかったものは、そんな立派な身体ではありません。

    疲れた日に自分を家まで連れて帰れる脚です。

    落ち込んだ朝にもカーテンを開けられる背中です。

    誰にも頼れない夜に、ペットボトルのふたを自分で開けられる手です。

    筋肉量を増やすというのは、見せるための身体をつくることではなく、自分の暮らしを最後まで自分で抱える力を貯めることなのだと思いました。

    もちろん、筋肉量だけで冷えや疲れのすべてを説明できるわけではありません。冷えには血流、睡眠、ストレス、食事、ホルモン、病気など、さまざまな要因が関係します。

    実際、冷えを感じる人と感じない人の筋肉量に、はっきりした差が確認できなかった研究もあります。だから「筋肉さえ増やせば全部解決する」と言い切るのは乱暴です。

    それでも、身体を動かす力を失わないことは、これからの私を助けてくれます。

    体質改善という言葉を、体重を減らす作業から、生活できる力を育てる作業へ。

    私はようやく、そう言い換えられるようになりました。

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    私を変えたのは、週一回の本気より毎日の“名もなき筋トレ”でした

    筋肉をつけようと決めた日、私はまずスポーツウェアを検索しました。

    形から入りたくなるのが、私の悪い癖であり、かわいいところでもあります。

    おしゃれなウェア、新しいシューズ、大容量の水筒、運動記録用のアプリ。カートの中だけは、すでに健康的な女性でいっぱいでした。

    ところが、現実の私は仕事を終えた時点で電池残量が三%です。

    帰宅して着替え、ジムへ行き、器具を使い、シャワーを浴びて戻ってくる。文字にすれば簡単なのに、その一連の流れが、海外旅行ほど遠く感じられる夜があります。

    そこで私は、立派な運動を始める前に、生活の中で身体を使う回数を増やしてみることにしました。

    歯磨き中に、ゆっくりかかとを上げる。

    電子レンジを待つあいだに、椅子へ座るような浅いスクワットをする。

    ドライヤーをかけるとき、片脚ずつ後ろへ引いてお尻に力を入れる。

    エレベーターを一度だけ見送り、階段を使う。

    床に落ちた物を拾うとき、腰だけを曲げず、膝を使ってしゃがむ。

    どれもSNSに載せるほど格好よくありません。汗だくの達成感もありません。

    「今日は筋トレをしました」と胸を張るには、あまりにも地味です。

    けれど、身体は私の見栄を気にしません。短い動きでも、昨日より使った筋肉は、ちゃんと今日の私の中に残ります。

    厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、成人に筋力トレーニングを週二~三日取り入れることが勧められています。ただし、これは毎回限界まで追い込むという意味ではありません。筋肉を休ませる日も必要ですし、健康状態や体力に合わせて行うことが前提です。

    ここで私が救われたのは、「ゼロか百か」で考えなくていいということでした。

    三十分できなかったから、今日は失敗。

    ジムへ行けなかったから、今週は失敗。

    お菓子を食べたから、体質改善は失敗。

    そうやって私は、まだ続いている途中の一日を、勝手に不合格にしていました。

    でも、スクワットを五回したなら五回分です。スーパーまで歩いたなら、その往復分です。疲れて休んだなら、それは次に動くための休息です。

    身体は、私ほど意地悪な採点をしていませんでした。

    少しずつ続けていると、最初に変わったのは体重ではなく、朝の動作でした。

    床に置いたバッグを持ち上げるとき、以前ほど「よいしょ」と言わなくなりました。階段を上ったあと、呼吸が戻るまでの時間が短くなりました。背筋を伸ばしたほうが、むしろ楽に感じる日も出てきました。

    劇的ではありません。

    誰かが気づいて褒めてくれるような変化でもありません。

    それでも、他人には見えないところで、自分の暮らしが少し軽くなっていく。その感覚は、体重計の数字が減るより、ずっと確かな喜びでした。

    体質改善は、突然「新しい私」が誕生するイベントではないのだと思います。

    昨日まで面倒だったことが、今日は少しだけ面倒ではなくなる。

    その小さな変化を拾い集めることでした。

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    筋肉を増やせば解決すると思った私が、最後にやめたもの

    ここまで読んでくださった方は、最後に「おすすめの筋トレメニュー」が出てくると思ったかもしれません。

    スクワットを何回、プランクを何秒、たんぱく質を何グラム。

    私も最初は、そういう正解が欲しかったのです。

    けれど、体質改善のために筋肉量を意識し始めた私が、最後にやめたものは運動不足ではありませんでした。

    食事制限でした。

    筋肉を増やしたいと言いながら、私は筋肉の材料になる食事を怖がっていたのです。

    朝はコーヒーだけ。

    昼は小さなサラダとスープ。

    夜は体重が増えるのが嫌で、ご飯を半分残す。

    その一方で、夕方には集中力が切れ、甘いものを探し、食べたあとに罪悪感を抱いていました。

    身体を強くしたいと言いながら、身体に渡す燃料を減らし続けていたのです。

    これは、ブレーキを踏みながらアクセルを踏むようなものでした。

    日本人の食事摂取基準2025年版では、成人女性のたんぱく質について年齢ごとの推奨量が示されています。ただし、筋肉はたんぱく質だけでできるわけではありません。身体を動かすエネルギーも、脂質も、炭水化物も、ビタミンやミネラルも必要です。

    プロテインを一杯飲めば、食事を削ってよいわけではありません。

    そこで私は、食べない努力をいったんやめました。

    朝に卵やヨーグルトを加える。昼に肉、魚、大豆製品のどれかを選ぶ。夜はご飯を敵にせず、量を決めて食べる。

    派手な変化ではありません。

    むしろダイエット情報を長く見てきた私には、食べることのほうが勇気を必要としました。

    そして、ここからが私にとっての予想外でした。

    食事を戻したら、すぐ体重が減った――という話ではありません。

    体重は少し増えました。

    正直、怖くなりました。今までの努力が消えたようで、また食事を減らしたくなりました。

    けれど数週間後、鏡の前に立ったとき、以前ほど自分のお腹を憎んでいないことに気づきました。

    身体が急に美しくなったからではありません。

    ちゃんと食べ、少し動き、しっかり休ませる。その当たり前を繰り返すうちに、身体が「処分すべき脂肪の塊」ではなく、「一緒に暮らしている相棒」に見えてきたからです。

    私が本当に改善したかった体質は、太りやすさではなかったのかもしれません。

    少し食べただけで自分を責める体質。

    何日か続かなかっただけで、全部を投げ出す体質。

    誰かの細い身体を見て、自分には価値がないと思い込む体質。

    変えたかったのは、身体より先に、身体をいじめてしまう考え方でした。

    筋肉は、黙っています。

    昨日できなかったことを責めません。結婚しているかどうかも、年収がいくらかも、鏡に映る太ももの隙間も気にしません。

    使えば少しずつ応え、休ませれば回復し、栄養を渡せば次の一日を支えようとします。

    こんなに誠実な味方が、ずっと自分の中にいたのです。

    だから私はもう、「体質だから仕方ない」という言葉で、自分の未来を閉じないことにしました。

    同時に、「筋肉さえ増やせば大丈夫」とも思いません。

    強い疲労、息切れ、めまい、動悸、月経の異常、急な体重変化などが続く場合は、貧血や甲状腺の病気をはじめ、別の原因が隠れていることもあります。自己流の筋トレだけで片づけず、医療機関へ相談することも、自分の身体を守る大切な行動です。

    7月16日の夕方、雨上がりの空に虹が出るかどうかは分かりません。

    けれど、虹が見えない日にも、光と水滴は空のどこかにあります。

    身体の変化も、きっと同じです。

    体重計に表れない日も、鏡で分からない日も、今日使った筋肉と、今日きちんと食べたご飯と、今日自分を責めずに眠った夜は、消えていません。

    体質改善とは、自分を別人に作り替えることではありません。

    これから先もこの身体で生きていくと、腹をくくることです。

    そして、その身体に「細くなれ」と命令し続けるのではなく、「明日も一緒に生きよう」と声をかけることなのだと思います。

    雨のあとにしか見えない虹があるように、うまくいかなかった日々を通った私にしか、見つけられない強さもあります。

    今日はスクワット五回でもいいのです。

    卵を一つ食べるだけでもいいのです。

    疲れているなら、早く眠るだけでもいいのです。

    その小さな選択は、誰にも見えません。

    でも、誰にも見えないところで育った筋肉が、いつか誰にも代われない私の人生を、静かに支えてくれるのです。

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    参考サイト:

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